映画:ノウイング(監督:アレックス・プロヤス)

ストーリーは予告編でだいたい間に合うのが終末映画である。よってネタバレもまったく気にせずに書いているのでご注意召されたい。

大学で宇宙物理学を教えているジョンは、ある日、小学生の息子ケレイブが持ち帰った紙に書かれた数字に目を留める。そこには過去に起きた大惨事の日付と犠牲者の数が書かれていたのだ。しかもそれは、50年前に小学校に埋められたタイムカプセルから出てきたものだった。やがて数字に予告された日付に大事故が起きる。さらに数字の最後には、人類がかつて遭遇したことがない大惨事が待っていた…。

映画が始まる前にニコラス刑事ってどんなんだったっけ? と訊いたら、ひとこと『モト冬樹』と返答され、映画の間中モト冬樹にしか見えなくて困った。ギョロ目も肉厚な皺の多い顔もハゲ具合も妙に細いジーンズのひょろ長い脚もモト冬樹そのものである。しかもいつ見ても酒瓶を抱えている呑んだくれのモト冬樹。そのくせ苦悩しまくるモト冬樹。子煩悩なモト冬樹バックパックを背負って走るモト冬樹
キリスト教圏ではお馴染みの最後の審判モノである。いい具合に情け容赦ない。その仮借のなさを強調するためか、地獄の業火に焼かれる人々や鉄槌に巻き込まれる人々の地獄絵図がやけに細かくCGで描き込まれていた。そのために飛行機が落ちてんのに中から人が泣き叫びながらゾロゾロ立って歩いて出てきたりする。罪深い人々はゾンビ同様だってことだろうか‥‥。(穿ちすぎ)
モト冬樹の息子はマッシュルームカットの可愛い少年で、不思議な声が聴こえたりする。シックス・センスの少年も可愛かったっけな。今度のガールフレンドは農薬を飲まされたりせず、元気に生きてるから安心だね。
最初のうちから不気味な正体不明の男たちの影がちらついたり、オカルト風味でもある。それもまあしかし、西洋版四天王だよなというのは最初のコンセプトからバレバレなのはいいとして、そんで何をしてくれるのかというと、幻覚を見せたり無闇と子どもを怖がらせたり碁石を渡したりするだけで、やってることのワケが判らない。五十年も暗号ゲームの前フリなんてまどろっこしいことしてないで、サクッと目当ての子どもを誘拐して四の五の言わず残りは片付けちゃえばいいんじゃないのと私なら愚考するところだが、神のご意思は計り知れないんである。
旧約のエゼキエル書が重要な小道具として出てくるが、これを預言者と異星人とのコンタクト記録だという解釈はだいぶ前からある。SF的には旧約聖書はドラマチックでエキサイティングだよね。そういう設定の映画やドラマというと、スターゲイトなんか世界各国の古い神々は全部宇宙人てことで、それぞれコスプレして出てくるな。
とにかく見所は映像なんである。ズババババ! と地面がめくれ、衝撃波がすべてをなぎ倒す大規模災害も見ごたえがあったが、そこに至るまでの空にかかるオーロラやはらはらと葉を散らす木々などの異常さが面白かった。だんだん気温が上がっていくのが、画面を通して伝わってくる。あと、地下鉄ね。あれは凄かったね。
ところでスーパーフレアが起きると地球上では本当にあんな感じになるんだろうか。

もしも太陽がスーパーフレアを起こせば、その熱は「真冬を真夏に変えてしまうほど」であるほか、荷電粒子が地球の超高層大気にぶつかれば、たちまちオゾン層が消滅して、地球上の生物は数ヵ月のうちに絶滅してしまう
太陽のスーパーフレアで地球滅亡?――WIRED VISION

というが、映画のように地表が一気にダメージを受けるような衝撃波があるのかどうか、よく判らないなぁ。