映画:サマーウォーズ(監督:細田守)

小磯健二は少し内気で人付き合いが苦手な17歳。数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃したことをいつまでも悔やんでいる理系オタクだ。健二はある日、憧れの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷まで旅行することになる。バイト内容は、「ご親戚」の前で彼女のフィアンセのフリをすること。しかし、仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことから、世界を揺るがすトラブルに巻き込まれてしまい…。

田舎の由緒正しい名家のメルヘンチックなストーリーである。そう、なにもかもメルヘンなのだ。そしてメルヘンなりにきれいにまとまっていた。
主人公の特殊能力についても、私も知り合いにパソコンオタクの少年がいたりするので、まーわりとハッカーってこんな身近な感じかもなと思ったりもする。天才というのは個人的事情なので、そこにいる人が頭が良いかどうかのアタリハズレでしかない。ただ確率的にはアリエナイほど低いだけで。
ひ孫がひいばあちゃんにそんなに懐くもんかなぁ、というのもよく考えると不思議だ。あんだけ山奥の田舎だったら、孫家族は年に一度か二度会えばいいほうだろうし、本家なんて近くの他人より遠い存在であるのが自然な気がする。公職に就いている人間が多いというのは田舎の名家にありがちではある。そしてご家族みんながそれぞれ優秀で健康で明るく屈託なく仲良く、一番の問題児でさえも秀才でアメリカ留学しててカッコイイなんて、まあ絵に描いたような美しい家族である。
しかしそれがいいんだろう。何も問題のないことがすなわち幸せであり、そしてそれは絵空事なのだ。美しい山の自然がそれだけではないように、あのたくさんの朝顔の鉢は誰が手入れしているのか、広い庭や屋敷は誰が日常的に手を掛けているのか。十人も使用人がいるというなら頷ける。しかしそうした日々のつまらない手間仕事のことを云々しても仕方ないのがフィクションというものである。
夏の美しさを切り取り、夢のような幸せ家族のちょっとしたドタバタを味わう。それがこの映画の醍醐味というものだろう。
突っ込み始めたら世界観のそもそもが現実味はないわな。
交通管制や消防・水道・ガスなどの人命に関わる重要なインフラは、普通に考えたらまさしくこうした状況を想定して独立したネットワークにするだろ。110番や119番は外部からも通報できるようにするだろうが、水圧をいじるってなに? 給水本管の水圧が設備的な入れ替えもなしにアカウントの操作ひとつで上下できるとはピンとこないなー。
アメリカの国防総省が世界中を覆う公私ともに生活に密着したインフラにウィルスを放すかい。百歩譲って放したとしても、その間、開発者を国外に出さないだろ。むしろテストケースなんだから立ち合わせてガッチリした監督の下にやらせるだろ。
おばあちゃんに叱咤されて国中の重要ポストのおっさんたちは頑張っちゃうわけ? 官僚なんて東大とかマサチューセッツ大とかハーバード大とかを出た超頭のいい人たちの集団なんじゃねーの。応援してもらわないとまともな判断できないの? それともどんだけマザコンなの?
※※が××るのは数○○☆☆るだけで大丈夫なもんなの? だって△△△外から××るのはほにゃららと一緒だろ。周囲○○かは□□ー□になっちゃうんじゃないの。
わんわんわん!
たぶんねぇ、そんなん言い出したらキリがないし、だったら映画なんか観なくていいんじゃないかってことになっちゃうんだわな。年月が経ってから長い夏休みがあった頃を回顧するような、美化された切ない幸せな夢なのだ。だからこまけーことはどうでもいいんだよ!