映画:エクスペンダブルズ(監督:シルヴェスター・スタローン)


のっけからナンだが、いやあ、ドタドタと走る姿がトシくったなぁ、スタローン。前ほどキレがないというのは散々映画の中でもネタにしていたし、アクションシーンでガチャガチャ画面が切り替わるのはご愛嬌であろう。
ミッキー・ロークが語ればなんでもハシシとアブサンにまみれた思い出話のようだし、ジェット・リーはよく喋り、ドルフ・ラングレンの狂犬ぶりは健在。『アドレナリン』のジェイソン・ステイサムがまともに見えるという怖ろしい映画である。異種格闘技ヘビー級チャンピオンのランディ・クートゥアは心配性すぎてカウンセリングを受け、元フットボール選手かつアーティストを目指していたというテリー・クルーズはクレイジーに炸裂弾をぶっ放す。スキンヘッドとビール瓶がトレードマークのプロレスラーだったスティーブ・オースティンは台詞こそ少ないが出てくるだけで画面を威圧する。とかなんとか、正直それほどアクションに詳しいわけじゃないので半分くらいはあとからちょっと調べたわけだが、誰も彼もがみんな大変良い面構えをしている。そして丸ハゲが三人でてきて暑苦しいことこの上ない。毛がないのに暑苦しいとはこれ如何に。
しかしなんといってもアーノルド・シュワルツネッガーとブルース・ウィリスである。いずれ劣らぬ主役級どころかスター級のムキムキマッチョである。三者が居並ぶ巨頭会談のくだりは圧巻で、順繰りにアップが写されるだけで変なくすくす笑いが漏れてしまう。こえぇ。これで往年の名作をネタにしたギャグが飛び出した日にゃ、懐古厨と呼ばれても涙を流して喜ぶしかない。これは若い人が観たらどうなんだろうなぁ。
ところで噂の長淵剛の主題歌だが、エンドロールで曲が切り替わった途端に席を立つ人がゾロゾロいたのにもちょっと笑ってしまった。私自身も話を聞いたときにはピーピーピー路線だったらどうしようかと思ったが、実際にはジジィ節全開のロックンロールだったし、あれはあれでエイプハンガーのイージーライダーな重量級単車で街に繰り出そうぜブルルンブルルンってな世界観には合っていたのではないかな。
全然関係もなければ世界観も合わないのに、タイアップ企画やなにかで日本人の曲がエンドロールでかかるというのはままあることだが、今回はドルフ・ラングレン極真空手つながりで長淵に依頼されたというウワサもあるようだ。あくまでウワサだが。ハリウッド映画に日本人の曲がつくこと自体が厭な人はあくまで厭なのだろうが、敢えて日本人の歌手がこの映画の主題歌を歌うと仮定して、誰だったら納得できるかと考えるとしたら、第一条件は『オヤジであること』、次に『ロックであること』だと思う。演歌以外でオヤジの歌手といえば、長渕じゃなければ泉谷しげるか桑田啓祐か浜田省吾松山千春さだまさし南こうせつ鈴木雅之チャゲ&飛鳥‥‥と考えていくと、似合いそうなのは泉谷か長渕あたりなんじゃなかろうか。てことは、うん、そんなに拒絶反応ビンビンになるほど悪くなかったと思うよ。