映画:ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える(監督:トッド・フィリップス)


朝に目が覚めたらメチャクチャなことになってるけど、泥酔していた昨夜の記憶がない、なにがどうしたんだこれはどうなってるんだあとひとり行方不明というパニックムービー第2弾である。
今回は歯科医のステュが東洋系の女性と結婚することになり、その両親の故郷タイで挙式をあげるという設定である。タイでロケをしているので、異国情緒溢れる風情がひとつの目玉になっている。右も左も言葉も判らない外国で、見たこともないホテルの部屋で記憶をなくして目覚めるという、1作目よりさらにハードルが上がった仕様となっていた。
しかし日本式のニートっていうのはアメリカにもいるのかね? などと非常に頭の悪い質問をしたくなるほど、アランのクソニートっぷりが素晴らしかった。階級社会である欧では親の収入だけで遊んで暮らせる状態っていうのは、人生における一種の「アガリ形態」でもあるんだよな。米ではまた事情は違うのだろうが、ここまで見事な和式ダメニートが存在するものなのか、それともナードの最終形態である2chにおける「おまいら」を揶揄したものなのか。
今回の行方不明者は花嫁の弟なのだが、これが非常に頭のいい青年で17歳で一流大学に入学しているのだけど、悪いヤツじゃないんだが、東洋人らしい何を考えているのか判らないアルカイックスマイルでずっとにやにや笑っているのだった。
一方でフィルは子どもを抱えてファミレスで食べてようが、タイの裏道で逃げ回っていようが、何処まで行っても「白人のチャラいイイ男」で、ステュは何をしてても保守的で困り顔のボンクラである。ふたりに代表される予定調和のアメリカ文化的なものが、ルール無用のアランや、今回のタイにおける東洋的なものに出会って混乱するという話なのだな。


1作目が良かっただけに期待して観に行ったのだが、映像・景色は良かったしテンポもよくて面白く観たものの、最初と比べると伏線の回収が甘く、『ハングオーバー』というタイトルに期待するものとはちょっと違ったかもしれない。