ヒューゴの不思議な発明(監督:マーティン・スコセッシ)

邦題は助詞が間違ってると思う。
孤児になったヒューゴは駅の壁の中、時計塔で暮らしている。10歳くらいなのかな。公安官に見つかると孤児院に放り込まれてしまうので人目を盗み、現金もないので食べ物は売店やパン屋で毎日掠め盗る日々。行方不明になった養父でもある叔父さんの代わりに、時計が狂わないようにメンテナンスさえしていればバレない。その傍ら、お父さんが遺した壊れたからくり人形の修理を続けている。ヒューゴは手先が器用で機械を弄るのが好きだった。
大人ばかりの世間の隙間で好きなことして暮らす子どもというのは、とても児童文学っぽい夢がある。大きな建物の裏側、つまり機械室とかメンテナンス用の鉄の階段というのもロマンなんだろうなぁ。いつも仕事でやってる私にとっては、とてつもなく現実なのだが。実物を見ても本当に必要なのかと思うほどじゃらじゃらと付いた計器類や大きなコンプレッサーやかたつむり型のシロッコファンなど、見た目は確かにスチームパンクだしカッコイイよ。
映像はキラキラとして綺麗だし、話の展開もご都合主義だけどもそっちにいくのかという意外性がありつつ、怖い公安官をはじめ登場人物の誰もが救われるのは、夢に比重を置いた童話のようなお話なのだな。そしてこれじゃあアカデミー賞総ナメなのも仕方ないな、という映画賛歌に満ちたお話でもある。
ああ、うん。なんというか、たとえ自分はしっくりこなくとも、これは責められない。しょうがないね。