読了:『火天の城』山本兼一

火天の城 (文春文庫)

火天の城 (文春文庫)

時代劇だが安土城の築城に焦点を当てた、職人が主人公の物語である。安土城は信長が作らせた山城だが、本能寺の変のあとすぐに消失している。はっきりした絵図も残っていないのだそうだ。しかし派手好きの信長が天下一の城を作るというのだから相当なものであろうと夢は膨らむ。それに応えるべく宮大工上がりの頑固な棟梁が知識と技術の限りを尽くす。そして巨大建築の現場を仕切る重圧に耐え、妨害を企む政敵が放った乱派(らっぱ・工作員)の始末もつけねばならない。
現場の剣呑な空気には身につまされるし、小説なので職人気質は思い切り美化してあってむず痒いわ、虚実入り乱れての実に楽しい読書であった。
西田敏行主演で映画化もしていたのだな。こちらは知らんかったけど、西田さんが大工‥‥?