映画:オブリビオン(監督:ジョセフ・コシンスキー)


偵察艇に乗って出掛けるときにひゅうんとアクロバティックな回転をかますのは、やっぱりトム・クルーズだからだろうか。『トップガン』から30年、永遠のヒーロー・トム様も50歳である。齢五十にして天命を知るというが、未だにヒーローやってるということはそれが天職だったということだろうか。しかしそれでも両方の女に惚れられて参っちゃうねなんていうトレンディドラマみたいな役柄は、そろそろ無理があるんじゃなかろうか。個人的にはもっと大人のかっこよさを追求して戴きたい。そして美味しくイタダキたい。
ぐちゃぐちゃととりとめのないことを書き連ねているが、よくまとまったSFの常でネタバレになりそうで内容に言及しにくいのである。住居は全面ガラス張りだったり偵察艇も軽々としたデザインで、主人公は絵に描いたようなヒーローだしで、いかにもつらっとした感触なのだが、つじつまを考えてみるとちゃんと練られているのだよな。続きを考えるとちょっと怖いことになりそうなのもいい。モーガン・フリーマンの熱血に対しオルガ・キュリレンコの役はちょっと可哀相だなぁという冷酷な部分もあり、絶妙なバランスであった。