トマトの丸かじり方

朝にコンタクトレンズを入れるついでに流しの上でトマトを丸かじりしていてふと思ったんである。
イメージとしてよくあるトマトの横から齧りつくのって、実際にやったら果汁が顎を滴り落ちて服まで汚すよね。

じゃあどうやって食べているのかと意識してみたら、まずヘタは苦いのでひとまとめにして指でつまんで上下をひっくり返す。皮がつるつるして塩をふっても滑ってしまうので、一口目は薄くはぐようにてっぺんに歯を立てる。ひと皮剥けたところでおもむろに塩をふり、上から(果実的には下から)かぶりつく。トマトの構造は球の中がくし型に分かれており、果肉の壁の間に種と水分が溜まっている。つまり外壁を壊すとそこから漏れてしまう。決壊に注意しながら適宜塩をふりつつ水平になるように徐々に削っていき、ヘタ近くの厚みがひと口に入るようになったら、芯を中心に回しながら一気呵成に齧りとる。
図にするとこういうことである。

これでほぼ失敗なしで手も汚れないが、かといって自由な気分になってカーペットの上で食べるには心もとないので、念のために下に皿を出しておくか流しの上で食べるようにしている。何度も顔をでろでろにし胸元を汁で汚した経験は、かように綿密な段取りを生んだのである。イメージと現実の違いについて思いを馳せた出勤前のひとときであった。