読了:「後宮小説」(酒見賢一)

後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

「三食付き」のイメージだけでなんとなく後宮に行ってみようかと思った「銀河」のその後と、思いつきで義賊になってみた男達が気まぐれと成り行きで起こした反乱の顛末。
前半部分は宮女に志願した銀河が僻地の故郷から後宮に到着し、宮女見習となって色々薫陶を受ける形式で舞台装置の説明が繰り広げられる。お話は後半になって展開するのだが、なんとも人間臭く情けない与太話である。でも嫌いじゃないわ。
舞台が後宮なだけに内容も内容なのだが、妙に硬いというかしらばっくれたような文体で厭らしくないどころか、妙なおかしみがある。それに実は案外純愛物語でもあるのだ。
あっさり読めて楽しかった。