鶏ガラ鍋

手羽先の切落とし部分が鶏ガラと称して一パック四十九円だった。おそらく三百グラム程度入っている。
これは使わねばなるまい。
茎の直径が四センチはあろうかという葱が一緒に売られていた。
今日のメインは葱だ。
いそいそと家につれて帰り、昼間から土鍋で煮込む。生姜・大蒜・葱の葉の部分・人参皮のままを細かく刻んで放り込む。
数時間後とろとろになったところに、炙って焦げ目をつけた味噌(胡麻・砂糖・みりん入り)を投入する。
モヤシとキャベツを中華なべで炒め、鍋に投入。
仕上げにこれまた魚焼きグリルで焦げ目をつけたぶつ切りの葱をブチ込む。
中華麺を別途湯がいて水で締め、皿にもって出す。
漢らしい料理である。作ったのは私だが。
同居人はめきめき料理の腕を上げて繊細な味を出すようになってきたが、私はどんどんやりつけなくなってたまに包丁を握ると豪快さで誤魔化すようになってきた。


帰省したとき、北海道出身の人に「横浜はどう?」と訊かれたので「キャベツと大根が安い」と答えたところ、「それが嬉しいのかどうか、よく判らない」と珍妙な顔をされた。
聞くと、北海道ではキャベツが単体で美味いものという意識がないんだそうだ。定番野菜だしあれば便利だけども、なければないで別に、という感じらしい。
なるほど。確かに地元で食べるキャベツには、かすかに辛みがあることがある。特産地ではないということなんだろうな。焼き鳥のあてにバリバリと生キャベツを食べるにしても、北と南ではあまさが違うわけだ。
葱も太い。品種も違うのかもしれないが、北の葱はどんなに立派なものでもこんな風にはならないよという太さのものが、普通にスーパーで売っている。
種類によるのはもちろんだけど、ごく大雑把な全体的な傾向として植物は暖かくて陽の光が強いほうがよく育つわけだよな。
太陽のパワーが全然違うのは実感としてよく判る。空気の色が違う。
よく研究室とアトリエは北窓が良いというが、東北で北面の部屋は暗くて仕方ないと思うのだが、こちらなら空が明るいから充分アリなんだろう。