冬へ


実家から帰る日の朝、よく晴れてわりに暖かかったのだが、イトトンボがひょろひょろと部屋に迷い込んできた。よく見ると目に毛が生えいるようで変である。
撮ってこなかったが木々はちょうど見事に紅葉していて、晩秋の気配であった。
離れてみて判ったが、仙台という土地は侘び錆びのある妙に灰色がかった文学的な空気があるのだな。それは端的に田舎で淋しいということなのかもしれないし、気候的に寒いので空気に緩みがないだけかもしれない。ただ鬱屈が饐えた文学の匂いと似ているだけかもしれない。