DVD:エスター(監督:ハウメ・コジェ=セラ)

エスター [DVD]

エスター [DVD]

子どもを流産で亡くしたケイト(ヴェラ・ファーミガ)とジョン(ピーター・サースガード)は悪夢とトラウマに苦しみ、夫婦関係も限界を迎えていた。以前の幸せな日々を取り戻そうとした彼らは養子を取ることに決め、地元の孤児院を訪問。そこで出会ったエスター(イザベル・ファーマン)という少女を養女として迎え入れる。

トンカチをザッシュザッシュと頭蓋骨にめり込ませたり、不気味に影が追ってくるシーンもあるにはあるのだが、不思議とぜんぜん怖くない。おそらく監督が描きたかったのは『認知欲の強い女ってホラー』だったのだろうが、観てるこっちは実際に長年にわたり女をやってる関係上、そんなものはよく見かけるし自分の中にもいるし、いまさら珍しくも怖くもないのは仕方ない。でも男から見たら怖いんだろうなー。そりゃ実際に怪我をさせたり殺したりするのはあり得ないやりすぎだが、被害者ぶって誰かの立場を追い込んだり無邪気そうに意地悪なことをするなんてのは、少女マンガのお約束であり昼ドラではお馴染みの演出である上、現実はこんなもんじゃない。自分を有利な立場に持っていく小細工が上手いひとは本当に上手いよな。アレはある種の才能だと思うよ。
と面白くなさそうに書いたが、実は面白かったのだ。ふ〜ん、なんて呟いてさめているつもりでいながら、画面から目が離せないのだ。それが何故なのか分析する手腕は私にはないけども。不思議な魅力の映画である。