シェフレラとポトスとアスパラ


一人暮らしをし始めてすぐに作った寄せ植えの鉢で、枝がビロビロと伸びきっているのが目に付くようになってきた。いままでただ水をやって生かしておいただけなので、下のほうの葉は落ち、上のほうだけわっさわさに茂っている。しかも鴨居から紐で吊っておかねば、無秩序に広がった枝が垂れ下がり、不恰好な上に場所塞ぎだ。
調べてみると、この灌木は自然では他の木に寄りかかって生える質で、自立するには少々幹や枝が軟弱なのだそうな。しかし生命力が強いので下方の葉が落ちて坊主になったらばっさり切り戻してもいいものらしい。そして水はけはよく。いままで適当に使っていたふかふかした観葉植物用の土は、不可ではないものの実は最適でもなかったようだ。これらを調べる過程で、一緒に暮らし始めて10年以上経つというのに、シェフレラという名を初めて知ったのだった。
ボクはキミのこと、なんにも判っていなかった。なんだか申し訳ない気分になりつつ、この哀れなシェフレラのために、いまさらだが深型の8号鉢とともに粒子の粗めな土を注文した。通説だが樹木は本来、地上に出てる部分と同じくらいの範囲に地下で根を伸ばす。植木鉢で飼っている以上はどうしても自然ではないカタチに歪曲させてしまうが、ある程度上に伸びる品種は出来るだけ深い鉢にしてやらねばならないのだよな。
まったく手入れらしい手入れなどしてこなかったのに、よくここまでつきあってくれたものだ。いままですまなかった。まるで仕事にかまけて省みることのなかった老妻を改めて眺めやる引退した企業戦士のようなことを呟きながら、この週末には大々的に切り戻し植え替えてやることにしよう。