腕時計+バングル

去年のあの夏の猛暑はいろんなものを奪っていった。汗をダラダラかきながら現場事務所に詰めて遠くから響いてくるデスマの微かな気配に脅えながら黙々と作業をこなしていたあの日。突然、腕の時計が音を上げたのである。具体的にはバンドに仕込まれた金属板が、おそらく汗の塩分で腐食し、千切れた。

派手なわりに文字盤は見難いけども、けっこうお気に入りだったので買い換えるにはしのびなく、いつか直そうと思ってこのままとっておいたら、1年近くが過ぎていた。その間に代替品を買ったのかというとそうでもなく、腕時計はなくとも携帯電話やなんかがあるので、日常生活では案外平気なものなんである。だからといっていつまでもこのままにしておくのもどうなのか。しかし時計のバンドだけをパーツで買ってきたとして、それをどのように繋げばいいのかと悶々と思い悩む日々であった。
そんなある日、アクセサリーの箱をゴソゴソしていたら、以前、どこかのお土産で友人に貰った革のバングルが出てきた。これもなかなか使う機会がない。そこでピコーンと思いつき、腕時計と合体させることにしたのだった。

並べてみたら、イケるんじゃね?
どうやって繋ぐか、革紐を結んでどうにかするか・・・・としばし悩む。下手なつけ方をして何かの拍子に時計部分だけ落下したら目も当てられない。うむ。シンプルに行こう。

バングルの革パーツにCカン4つで直接留めたのだった。両端はバングルにもともと開いていた穴を利用し、真ん中は穴あけポンチで新たに開けた。片側4つもCカンで留めておけば、一気に全部外れて失くすことはないだろう。

ちょいちょいと出来上がり。写真に写っている文字盤を見ると、細工にだいたい30分かかったようだ。材料の曲率が違うのが気になるが、そこらへんはあとで少し調整することにしよう。