よく料理ができるかと訊いてくる男性がいるが、あれはなんなんだ？ 別に私の手料理が食べたいようでもないし、家庭料理談義をしたいのか？ 出汁をどうやってとっているか聞きたいのか？ それは訊かれても教えられない。なんでと言われても理由なんかないが。
私の場合は、
「キミ、料理するの？」
「出来るように見える？」
「うーん、見えないね‥‥」
「でしょ？ するわけないじゃない、あはは‥‥」
という会話になることが多い。
質問の形式だけど、実は単なる時間潰しの話題であって内容にも本当は興味がないなら、その答えは是でも否でもどちらとも言えないでもどうでもいい気がする。実際料理して食べさせれば、一見ならぬ一味見は百聞に如かずだし、ましてやこの先食べる可能性がないなら余計に、私の料理のスキルを聞いたところで何の役にも立つまいに。
そうだ、今度は満漢全席を作れますって言ってみよう。皿も中華テーブルも自分で作りますって。そんで雪が風に吹き荒ぶ断崖絶壁にツバメの巣を採りに行くところからホラを始めれば、望外に楽しんでもらえるかもしれない。
嘘をつくのは悪いことでしょうか。なんだかとっても投げ遣りな気分。
