そして殺伐とした日常

昨日のことだ。抱えていた物件が、一斉に動き始めた。もう無理、手が回らない。てなわけで、仕事を外注に出すと社長が言い出した。
外注? なんか‥‥いや〜な予感‥‥。
とにかく、前にも頼んだことがある人に電話をかけて、来てもらった。
でも、なんか変。打ち合わせの場に、妙に白々しい空気が流れている。
聞いたら、前に仕事をしたときにこちらが外注費をなかなか払わなくて、迷惑をかけた人だったんだそうな。
だろうな。毎日顔をつきあわせる社員にもまともに給料を出せない社長が、外注費を惜しむというのは容易に予想がつく。ああ、いつものアレね、という感じだ。しかし、それでまた呼ぶ方も呼ぶ方だし、来る方もなぁ‥‥でも仕事だといわれれば来ちゃうかな、やっぱり。相手はこっちのことを、ちょっとお金に困ってて払いが悪い会社だとしか思ってないだろうし。
いい大人というのは、過去の諍いを水に流すというスキルも求められる。仕事は仕事、細かいことに拘泥してはいけない。仕事に限らず何かを与えられ生かされるには、謙虚でなくてはならない。廻り回って情けは人の為ならず。騙すより騙される方がいい。諸々の処世術というものがある。その上にやはり良い人・度量のある人だと思われたい、他人の信用を勝ち取りたいってのも自然な欲求であるし、それに自分だって絶対に間違いを犯さないとは言い切れないし、誰かに迷惑をかけることもあるとまともな人は考えるから、前回はアレだったけどすぐに切り捨てるんじゃなくて、ちょっと今回は様子を見ようか、となるわけだ。
相手もまともな人間ならば持ちつ持たれつで丁度いいのだろう。だが、ここの社長のような常識外の人間に引っかかると悲劇だ。
実際、工事代金は使い込むわ、周りを誤魔化すためにわざわざ行政書士を頼んで有印私文書は偽造するわ、この社長はただの犯罪者だ。それを知ったらさすがに来てくれないだろうな。
昨日も黒部ダムにご両親を連れて行くのがどうとか言ってた。福引でペア旅行が当たったそうだが、一年に何回福引があって、そのうち何度当選するんだろう。HD付DVDプレイヤーも当たったって言ってたっけ。懸賞一家かい。


で、その日の夕方に、二週間前に貰っていた物件について電話が来た。
「明日の朝、原図で提出して」
それは社長がやってるはず、と確認したら、一枚しか出来てない。
明日の朝、取りに来ると言っているし、さて、どうしよう。
ボリュームはさほど多くないので、頑張ればできるかも。一晩でひとり四枚描けばね!
そして描いたよ! エライぞ、私!


今朝は普通に出勤したら、社長がいない。朝一で打ち合わせとは聞いていたが、その後まだ戻ってこない。もう昼だよ。
自宅で寝てる‥‥んだろうな‥‥。