無理だから憧れる孤高の人

行く末が決まったので、だいぶ落ち着いてきた。決定するその日まで胃が重くどろどろした体調だったのだが、事が決するや否や雲間からさぁーっと光が差したように爽やかな気分になるのだから、我ながら現金である。すっかり躁鬱の乱気流に振り回されている。
恋愛に限らずだが、たまにはモテモテになってみたいという願望はあった。しかし実際に物事を決定するのは思った以上に大変だった。今度の件には色気は皆無だし、引く手あまたというには程遠いしょぼい状況だったのだけれど、それでもこんなに迷うのだ。
そんで誰に相談しても最後に決めるのは自分。選ぶのは自己責任。誰のせいにも出来ない。
してみるとあっちこっちで愛の告白をされるような人生では、逆に孤独をひしひしと感じることが多いんだろう。体験したことはないけどな。
私はまたいろんなことを深刻に考えすぎな向きはあるのだろうけど、ふとどっちにするか二者択一を迫られてみると、これが何を根拠に決めるのか、どんどん突き詰めて考えなくては選べなくなってしまう罠なのだ。どっちでもいいよ、が赦されないのがツライ。そんな私はかなり日本人的だし全体において奴隷体質の安い人間なんだろう。
それにしても今回の選択は蓋を開けてみたらどっちもどっちな状況で、そんなもんいちいち選ばせんな、どうせなら選びようがない程の条件を持ってきてくれよ、という気もしないでもなかったんだが、しかしどちらも同じようなもんということは、私の市場価格はやっぱりこれくらいの安さなんだなという有益な客観的資料ともなりえたのであった。そういう意味では‥‥夢も希望も‥‥知りたくなかったかも‥‥。