折畳み傘


夏らしくなってきたな。蝉が鳴いている。
折畳みの晴雨兼用傘を先日購入した。折畳み傘なんて持ったのは何年ぶりだろう。下手したら二十年ぶりかもしれない。そもそも傘をコンビニ以外の場所で買ったのも、年単位で久しぶりのような気がする。
傘は長いのは邪魔だし折畳みは重いのでやっぱり邪魔で、持つのが嫌いだった。荷物は少ないほうがいい。通勤時には一応ハンカチとティッシュと文庫本ぐらいは持って歩くが、究極は財布と煙草があればあとは何とかなるわ、というぐらいの感覚なんである。
いきおいちゃんとした傘を買うのも気が進まなくて、いつも無くしてもいいようなテキトウなものを使っていたのだ。
しかしこっちの日差しは強烈なのでできれば遮りたい。が、暑くて蒸れるので帽子も被っていられない。するってーと日傘があったほうがいいな、直射日光に当たらないだけ体力を温存できそうだ、とふと思いついた。どうせなら急な雨でも使えるものを、とポップなストライプ柄で小さく折畳めるのに取っ手がちゃんとJの字になってるのを選んで、うふふと購入したのだった。
ここのところは小雨が多かったので随分活躍してくれた。今日は久しぶりの青空だったので、朝からさして歩いた。自分の鞄からこうして役に立つものが出てきて、そのおかげで快適に過ごせるのって、意外に気持ちがいいことに気がついた。しかもそのデザインがそこそこ気に入っていれば、なおさら嬉しくなることも。
この感じ、すごく久しぶりだ。子どものころ以来かもしれない。そう、前に折畳みの傘を持っていたころには感じていた、モノを愛でる気持ち。