ゆったりした休日、窓の外で鳩がくるるーくるるーと喉声で鳴いていたのである。うちのベランダには鳩が来る。来て鳴いているだけならいいのだが、どうしても糞やら落ちた羽やらでそこらへんが汚れるので、あまり歓迎できない存在なのだった。しかも人がベランダに出ても、申し訳程度にその場で足踏みするだけで逃げやしない。
近寄ってカメラを向けてもどんと構えてくつろぐ鳩さん。漢らしい。
そこでふと鳩はカラスの模型を怖がるという話を思い出し、暇だったし簡単な実験してみることにしたんである。
ダンボールにカラスのシルエットを描き
切り抜いて
ポスターカラーで両面を黒く塗り
穴を開けて針金を通す。
これを物干し竿に引っ掛けてみたら、そこにいた鳩は全員ものの見事にどこかへ飛び去ったのである。おほほ、効いてる。しばらくして別のカップルがふたりの世界に夢中になりながら侵入してきた。ふるるーふるるーとひょこひょこ上下して求愛ダンスしていたオスがハッと気付いて素に戻った瞬間に膨らんでいた首周りの羽毛がシュッと縮み、二羽揃って慌てて飛んでいった。進入禁止の場所でいちゃついていたバカップルが警備員に見つかった様もかくあろうか。人馴れしているとはいえ一応野生動物なのにこれほど判りやすくていいのか。笑いすぎてその瞬間をカメラに納められなかったのが、かえすがえすも口惜しい。
次の日起きてみると、朝のひとときにいつもなら聴こえてくるででーくるっくーと今日の天気を告げる声がなくしんとしている。ちょっと寂しい気もするが、糞害よりはいいか。
こうして鳩除けにはカラスのシルエットがテキメンに効くことが判明したのだった。鳥は賢いのでそのうち2次元だと気付かれてしまうかもしれないが、それまでに3Dの風見鴉を作ろうかな。
