映画:危険なメソッド(監督:デヴィッド・クローネンバーグ)


説明不要の有名な精神分析医のフロイトと、その弟子となるユング。そこに後の児童心理学者となるザビーナが患者として絡む。フロイトユングは境遇や年齢の差を越えて学術的な面で意気投合、一時はフロイトユングを自らの後継者と指名していたほどだったが、付き合いが深まるにつれてふたりの間に亀裂が入っていく。予告編を観たときはザビーナという女性がふたりの間に割り込んだというようなストーリーなのかと思ったら、全然違った。
息詰まるような会話劇で、一瞬たりとも気が抜けない。軋轢が境遇の違いを浮き立たせ、立場が反対意見を言わしめる。緊張感のある人間模様であった。
フロイトユングについては有名なのでなんとなーく表面的な知識として最初は仲良しで最後は仲違いしたというのは知っていたのだけど、特に調べたこともないしどんな具合だったのかよく知らなかったのだけど、こうして順を追って見せられるとそのへんがとても判りやすかった。もっともこれは映画なので鵜呑みにするのもアレだろうけど。こうしてみるとユング奥さんは夫を愛してるわ裕福だわ物分りはいいわであんまりにも切ない。女児を出産した直後に「次は男よ」と自分で言っちゃうのも痛々しい。ユングが優しすぎて暖簾に腕押しだから先走っちゃうんだろうな、と思ったり思わなかったり。
服装や背景も美しく時代の雰囲気が出ていてよかったな。