本屋大賞:「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」(リリー・フランキー)

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

本屋大賞というのがあって、コレが受賞したそうで。
「本屋さんが一番売りたい本」が「東京タワー」ですか。へえぇ〜‥‥。
私も今年に入ってすぐあたりに読んだのですが、感想を書くことなく流してしまった。
いや、泣けましたよ。「母」というキーワードにはまったく共感できない私ですが、彼らにはちゃんと積み上げたものがあって、互いに大事に想い合っていて、ダメ押しに闘病生活がきて。これの母がこぎつねでも泣けると思うが。
リリーさんの怜悧な視線で、くっきりと情景が浮かび上がる。特に後半の闘病生活を描いた部分は、淡々と進むだけに尚更涙をそそられる。各章の最後に「五月に○○と言った人が云々」というのが出てくるのには、ずっこけましたが。
ただ、これはいわゆるメロドラマ‥‥消費サイクルの早いもの、という気がしてなりません。セカチューにはどうにも食指が動かないので、読んでないし映画も見てないけど、それ系統なんじゃないの、と思っちゃうんですよ。恋愛モノではなく家族愛ものだから、読者層は少し違ってくるのかもしれないけど。
「本屋さんが売りたい本」が、普段は活字をあまり読まない人でもさらっと読めて(ということは、文章が上手いということでもあるな)、適度に感動できて、すぐに次を求めるようなタイプの本だったのは、成程なぁって感じですね。少し物足りない気もするけど、それが商業ってもんだし、仕方ないか。