観察結果報告(改)

昨日のエントリの書き直し。一度アップしたものを削除するのは、こんなことがあるから考え物なのだな。アップするときはもう少し読み直して考えねば。
id:kmizusawaさん、ブックマークいただいたのにすみません、いつも拝見してます*1


で、本題。
私の周りには借金地獄が好きだとしか思えない人がいる。
人には色々事情があるのだろうし、一概にキャッシングがすべてダメだというつもりは、実はない。一時的にどうしても必要な出費のためにやむなく借金して、まっとうに完済した人のことも知っている。
ここでいうのはそういうまともな人のことではなくて、無軌道に借金を繰り返す人の話だ。
そういう人も現実面では借金取りから電話がかかってくることや、心理面では借金が放つ負のオーラなどに、まったくストレスを感じないわけではないらしいのだ。それどころか厭でたまらないように見えるし、それで人にもあたったりもするのに、止めようとしない。何故なんだ、と身近な人をサンプルにして考えてみた。


金融業者から金を借りて、期日までに返す分の金額が作れず、他の金融業者からまた借りて返済に充てることを、借換えという。
金融業者というのは緻密なデータベースを共有しているらしく、他の店でも借りていることはちょっと検索すればすぐ判るようになっている(らしい)。他で借りていてまだ返していないうちにまた借りにくる人物は、査定されてまともなところでは貸してくれない(ようだ)。貸すのは怪しい高い金利を取るところしかない(という)。借り換えを繰り返すうちに段階を踏んでどんどん法外な金利になっていき、金利を返すために更に高い金利で借金をすることになる(と聞いた)。違法金利が違法金利を生むのだ(そうだ)。
こうなったら普通の人が抜け出すのは難しい。いわゆる借金地獄だ。


そうなったら、どうするか。
金融業者もプロである。普通の人がただ漠然と対抗しようとするのは、はっきり言って無理だ。
簡単に自己破産という道も考えられるが、数百万の金額で人生を棒に振るのは、少々交換レートが高すぎると私は思う。一生に一度しかできないし、なにより「落ちるところまで落ちる」という感覚がネックだろう。コンスタントに収入が得られる人なら、辛いがもう少しいい方法がある。
法律とその道のプロに頼るのだ。
相談するのにいきなり弁護士のところに行くと、相談料が発生する。ただでさえ借金で困っているのに、料金を取られるのでは敷居が高い。
ならどうするか。
もし身近な知り合いに会計士や税理士、行政書士などのお金に詳しい人がいるなら、恥を忍んで腹を割って話してみることだ。身近な人間が、一番親身になってくれる。そういう人がなければ次善の策で、行政関係の無料法律相談や消費者相談センターのようなところがある。
そこでどんな方法が取れるのか聞いてみて、決心がついたら有料のプロに頼めばいい。
調停で裁判所に間に入ってもらい、違法な金利なら適性に戻し、返済計画を立てて実行することになる。もちろん元本と適正金利分は返さなくてはならない。それまでに支払った違法金利分も計算されて元本返済に充当されるし、強引な取立ても止むし、なけなしのプライドも守られる。完済した暁には達成感が味わえて、却って大きな自信になるかもしれない。


いいことだらけだと思うのだが、借金地獄が好きな人は、どうしてかこれをやろうとしない。追い込みをかけられても、黒焦げになっても、ストレスのあまりおかしくなっても、逃げ回るのだ。

  • どういう方法があるか判らない世間知らずだから?
  • 自分がどういう状況にいるか飲み込めてないから?
  • 慣性の法則で惰性で生きているから?
  • 他人に包み隠さず借金の実態を話すのが恥ずかしいから?
  • 借りたものは返すという思考が欠落しているから?

多分、どれも当て嵌まる。だけど、どれも理由としては弱い。
身近なサンプルを観察していて、少し判った気がする。そういう人は、自由でいたいんだ。
司法に間に入ってもらったら、キッチリ計画どおりに返さなくちゃいけない気がして窮屈なのだ。そんでちょこちょこ新たな借金ができなくなるのが厭なんだ。
私が観察しているサンプルは、借りた金で生活レベルの底上げをしている。返すあてはないけれど、高嶺の花が欲しいから借りて購入する。美味しいものを食べるために、少し高めの店で遊ぶために、少しずつ借入れする。分に見合わない条件の良い住居の家賃のため。車も良い物、欲しいもの。旅行も好きだ。貧乏臭いのが嫌い。それを繰り返せば、なんだかちょっといい生活ができている気がする。
一応、少しずつ返済はする。だが借入れ限度額まで隙間ができると、また借りて小銭を使う。
真面目に心を入れ替えて、いじましい地味な暮らしに甘んじてコツコツ完済する*2
そんなのは全然お呼びじゃない。
いつまでもこのままでいたい。高い金利を払っても、アブクにくるまって好きなことをしていたいんだ。
こういう人は”ちょっと良い生活”を志向することでも判るように、虚栄心が強い。見栄が大事な人にとって、生活レベルを落として感じる惨めさは我慢がならないことなのだ。


なるほどねぇ、価値観は人それぞれだが、なんて奇妙な自由だろう。
確かに借金に追われるのと、生活苦に追われるのとでは、何が違うだろう。死ぬまで逃げ切れば、大差ないのかもしれない。
だが適正な金利がどう適性なのかは判らないにしても、単純に払う分が少なくて済むなら、生きるために必要な収入の額を減らせる。私なら差額を稼ぐ時間で、死ぬ前に別なことをしたいと思うが、それもただの保守的な私の価値観でしかないからな。ははは、生まれつきロハス

*1:人の足にクライミングしてた蝉の話が好き。

*2:それができる人なら最初から無茶な借金などしないというのは真実かもしれないが、それを言ったら話が終わってしまう。