ぐるぐる

むかーし、エレクトーンを習っていた。
小学生のころ教室で一緒になった子は他ではあまり接点がなくて、週に一度、その教室で顔を合わせるだけだった。
ある日のこと、いつもは教室が終わったらどこにも寄らず、途中まで方向が一緒のその子と連れ立って歩き、別れる処まできたらバイバーイと手を振って、まっすぐ家に帰っていたのだけど、その日に限って急にその子が途中の公園に寄りたいと言い出した。渋る私の手を強引に引いてブランコに坐らせた。
別にその子のことは嫌いじゃなかったけれど、週に一度しか会わないから大して親しくもなくて、小学生の私にとってはエレクトーンで一緒の子というだけだった。そうしてどうしたかって、強引にブランコに坐らせられてもどうしていいか判らず、今思えばその子はお母さんに怒られたとかちょっと家に帰りたくなかった理由があったのかも知れず、私としてはお喋りでもしてれば良かったんだろうが、歩いている間はくだらないことをぺちゃくちゃ喋っていたくせに、公園に坐って改まって何を話したらいいのかすら判らなくなって、その前にどうしてこんな目に遭うのか全然のみこめなくて、ただ途方にくれた。
そのことを帰宅してから母に報告したら、母はため息をついて「その子はアンタと遊びたかったんだよ」と教えてくれた。
私はそんなことも教えてもらわねば判らなかったんである。