読了:レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上・下)(レオナルドダ・ヴィンチ)

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 (岩波文庫 青 550-1)

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 (岩波文庫 青 550-1)

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下 (岩波文庫 青 550-2)

レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 下 (岩波文庫 青 550-2)

やっと読み終わった。どれくらい苦戦していたのかというと、上巻は去年の秋にひったくられたバッグに入っていて、からくも置き捨てられて戻ってきた品目の中にあったというくらい。何を隠そう、八月に国立博物館ダヴィンチ展を見に行き、その流れで手に取った本である。ちょこちょこ浮気もしたが、基本的にこの八ヶ月間通勤のお供に常に持ち歩いていたんである。
内容は文学論、人間論、絵画と他の芸術との比較やら解剖の手法、生活上の注意に至るまでの多岐にわたるメモ書きの羅列で、しかもそれがマルチな天才の手によるものであり、他人が読んではっきりと理解できるような代物ではない。というか、私には大半が何を言っているのか判らなかった。
曰く、

ものを次々に二分してゆく時間は頭脳を持って宇宙を分割するにも、頭脳を持って同時に自然の点を分割するにも相等しいのである。従って自然の点と数学上の点との間には分割に関する限り無限の距たりがある。いかにして無限を二分すべきか。

判るわけがない。イーガンかよ‥‥。

数学者でないものには、私の原理は読めない。

がくっ。わ、私にはむ、無理ってことね‥‥。
そんな感じなのでほぼ流し読みだったのだが、進まないこと甚だしい。しかしつらつら字面を追っていると、この時代には月には水があると思われてたんだなとか、水の循環について海抜高度の高い場所での湧水についての原理とか、現在の有力な説とはちょっと違う考え方をしていたことなどが窺えて楽しい。
天才の言うことが私なんぞには判らなくても仕方ない。それは読む前から覚悟はしていた。おそらく私にとっては判らな過ぎて面白くもないだろうなということも。
途中で本を盗られるなんておかしなトラブルに見舞われたりもしつつ、しかしとにかく一読だけはしてみようという無駄な願望が成就して、感慨無量である。よくやり遂げた、私。慶びのあまり蔵書印捺しちゃおうかしら。
さあ、これで我慢してたアレとかソレとかがやっと読めるぞー。