丑三つ時の訪問者

昨日のことだった。残業から帰ったものの、まだまだ忙しく次の日もその次の日もおそらく遅くなるであろう。今週一杯くらいはキツい予定になる。睡眠時間を確保して体力温存しなければ、と寝酒代わりにビールを1本ひっかけてさっさと布団に入った。夏が終わって気温も下がって寝やすいのがせめてもの救いだ。
仕事に波があるのはいつものことで、できるだけ寝ておかなければならないという状況にも馴れたものだ。目論見通り気持ちよくスムーズに眠りに落ちていった。
‥‥む。なにかがおかしい。丑三つ時に目が覚めた。目を閉じたまま状況を窺う。胸の上に乗せた左手に違和感がある。気配が近付く。毛布からはみ出した右足になにかが触れる‥‥。


ぷい〜ん‥‥。
なんでこんなに涼しくなってから蚊が出るんだよ!
夏の間中は窓を開けてても出なかったくせに。しかもこの忙しくて疲れてるときに。蚊の羽音くらいで目が覚める自分自身も腹立たしい。一度気になると眠れやしない。仕方なく夜中に起き出して刺されて腫れた箇所にウナコーワを塗り、既に仕舞い込んでいた蚊遣り豚をガタガタと引っ張り出し、線香を焚いてその煙にむせながら再び寝た。
おかげで今日も眠い。