秩父で棚田

秩父には巡礼の札所が34箇所ある。その名も『秩父三十四箇所』といって、西国三十三箇所坂東三十三箇所と併せて日本百観音なのだそうな。秩父巡礼は一番から三四番までの一巡で約100kmあるのだという。というのも、帰ってきてから調べたんだけどな。そんなわけで、秩父の広いとはいえない盆地の中に、ぽつぽつと小さなお寺が点在しているのである。道すがらにあるところには寄り道させていただいた。

札所十番 萬松山 大慈寺

ここらへんでそろそろ腹が減ったので、これまたあちこちにある手打ち蕎麦の看板に吸い寄せられる。

噛み締めるとぷちぷちと蕎麦の粒が感じられる、爽やかなお蕎麦であった。

札所五番 小川山 語歌堂

坂道を登っていくと、ガードレールの傍に鳥小屋のような形をした犬小屋のようなものが。

ひきだしを開けてみると、キレイに分類され整理整頓され小分けにされた花の種である。ご自由にお持ち下さいと書いてある。
ひいふう登って着いたところは、第二の目的地、寺坂の棚田である。


斜面に沿って段々の田んぼが並んでいる。行ったときは田植えもまだだったが、これで水が入ったらもっと壮観だったろう。

武甲山のふもとにある生コンプラントがどこからでも見えて、異様な雰囲気。

山を下り、いい加減に歩きつかれたので川岸にあるウォーターパークで一休みのつもりが、うっかり寝てしまう。遠くから笑い声のさんざめきが風にのって聞こえたりして、気持ちがいい。
その後、少し道に迷いつつ横瀬の駅に向かう。

札所九番 明星山 明智
さて、駅に着いたのが3時ごろである。予約した指定席は6時発。観光シーズンのゴールデンウィークなのもあって、早い時間の電車はすべて満席である。歩き詰めで疲れたし、あと3時間、さてどうしよう。駅前をうろうろしていたら、一番近い日帰り温泉まで無料送迎バスが出ているというではないか。よし、これだ。

というわけで、何故か温泉に入ることに。

川っぷちにある温泉場の駐車場では、こいのぼりが豪快に泳いでいた。

ぷはー。汗を流してさっぱりしたところで、和室の休憩所に坐りこんでビールとフランクフルトを腹におさめたら、時間までごろ寝で爆睡。
こうして予想外なところまで秩父を味わい尽くし、また送迎バスに乗って駅へ戻ったのであった。

さて、帰ろう。
行ってみるまで秩父霊場だとは失念していた。季節のせいもあるのかもしれないが、あの独特の柔らかさ、なにかに守られているような桃源郷のような穏やかなぽってりとした空気感は、どこか覚えのある懐かしい感じがした。