怒りの1インチである。なにが1インチなのかは映画を観ていただくとして、ロックバンドを追った音楽映画でもある。ドラッグクイーンの
恋愛模様というのはなぜこうもむき出しでえげつないのであろうか。これがエキセントリックということか。
なんとなく観た気になっていたのだが、観たと思っていたのは『
カッコーの巣の上で』で、あれは刑務所じゃなくて精神病院だった。一般社会とは規範が違い、自由を制限され横車がまかり通る狂った場所で、なんとか折り合いをつけていこうとする場面は不思議と穏やかだ。こういう苦しい状況や閉じ込められた状態から逃げ出す話が私はけっこう好きなんだな。あと、最後のくだりでなんとなくキャッチ=22を思い出した。
DVD:地球に落ちてきた男(監督:ニコラス・ローグ)
CGなど望むべくもない古い映画である。派手な特殊効果は極力廃し、細かい描写の積み重ねで宇宙人というものを表現しているのが面白い。
デビット・ボウイの美しさ・カリスマ性に寄り添った映画でありながら、よくあるPVのようなアイドル映画とも一線を画しているのだな。かなり雰囲気に流れた描写が多く、ストーリーとしては意味不明な部分も残るし、正直イヤミ臭いのが鼻についたのだけど、やっぱり佳作なんだよなぁ。