映画:タンタンの冒険/ ユニコーン号の秘密(監督:スティーヴン・スピルバーグ)


有名な児童書が原作だが、私はこれを読んでいない。あるのは知っていたけど、なんとなく手が伸びなかったシリーズだった。いかにも男の子向けだったからかな。そんなわけで前知識ゼロで観たけど、とても楽しかった。子どもの頃に読んどけばよかったなぁ。
もともとアニメもマンガも好きなのだ。二隻の帆船のマストが引っ掛かり片方が持ち上げられて遊園地のバイキング状態なんて、ましてやロープ1本切り落とせばそれがスパッと離れるなんて、そりゃ現実ではあり得ないけども、こういうアニメならではの「そんなバカな」というホラ話が楽しい。船長のアル中表現も現実的には「正しくない」けども、酒を飲んでるときと飲んでいないときとに記憶の分断が起きているなんてのは、古典的なコメディだよね。
緻密なCGであまりデフォルメ度は高くなかったものの、それでもやっぱりアニメだからという了解あってのマンガ的表現で埋め尽くされていて、さすが巨匠とすんなり気持ちよくひたることができたのだった。これが実写だったら手法も変わってくるんだろうな。あと変に華担当の鬱陶しい女の子を配さず、あくまでストイックに男の子による男の子の冒険譚だったので、緻密だけどアニメというのはなかなかニクイ。聞くところによると原作ファンならニヤリとする小ネタも散りばめられていたようで、監督の愛情を感じる1本であった。