9月11日は心が痛い日になってしまった。秋のとば口でただでさえ一抹の寂しさが紛れ込む季節、引き裂かれるような痛みを抱える人がいる。
ちょっと前にDVDで『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観た。そこにはたくさんの、本当に街中の人が巻き込まれた結果の、近かったり遠かったりの差はありつつも同じ喪失の痛みを抱える人々の姿が描かれていた。慰めあっても痛みは消えない。でも誰もが事情を聞けば「ああ、あの‥‥」と即座に共感しあえるような出来事。正直、ニューヨークなんて遠い世界の出来事のように感じていたのだけども、震災を経てそれがどういうことだったのか改めて実感できた。身近に起こってみなければ結局なにも判らない愚か者なのである。心の中の暴風雨を宥め、おさまりきれない張り裂けそうな胸を抱いて生きるということ。
個人個人の事情はみな違う。しかし置いていかれる側はいつでも辛い。それは震災やテロなどの未曾有の大災害でなくともだ。忙しさに紛れそうになりつつ、残業帰りの夜道で秋の夜風の中に寂しさがひとつ。何故、解放されたいと願ってはいけないのか。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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