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性交と恋愛にまつわるいくつかの物語
性交と恋愛にまつわるいくつかの物語高橋源一郎
不細工な男女がAV撮影現場で出会うところまで。
きっとこの人は優しい人なんだろうなぁ、とまた思った。以前に彼の本を読んだときにも、そう思った気がする。この人が優しいほどは他人は優しくなく、優しさゆえに辛いことも多く、それを乗り越えて飄々とするようになったんだろうなぁ、と勝手に想像しています。
そして恥の感情が強い。ある意味自意識過剰で、華々しい才能に憧れ、理想と現実のギャップに耐えられず、目を逸らすこともできず、コンプレックスの塊なんだろうなぁ。辛い生き方だなぁ。
欲は生命力であり推進力だと私は思っているので、そんなに強く憧れることができるなら、とっくに努力してるし、現実的に努力しない人は本当は憧れてなんかいないとか、まま、納得できない部分はあるけども、いやいやこれは技法で誇張しているんであって、象徴としての不細工なのだとか、出てくるオトナコドモの現実味のないリアルさは非常に文学的だし、不思議は不思議のまま、残酷は残酷のまま描くのがこの人の味だよなぁ、と思い直したり。