眠賛歌

鎮痛剤をビールで流し込んだら強烈に眠くて堪らず、風呂に入る気もなくしてベッドに潜り込んだ。起きようとすると頭がくらくらするほどの心神耗弱状態、ずいぶん前に向精神薬でやるのが流行った遊びのように、こんなときに無理に寝ないようにしているとうまくいけば幻覚も見られるのかもしれない。*1しかしどんなときでも寝るのが至福な私にとって、寝るのを我慢してまで見る幻覚に何の意味があるのか判らない。幻覚なんて、眠れないときにいくらでも見られるじゃないか。眠れる機会を逃すなんてもったいなさ過ぎる。
眠りには勝てない。食べるのも寂しいのも我慢できるけど、眠いのだけはどうやっても無理だ。起きるのも苦手。いつまでも眠っていたい。現実は辛い寒い疲れる面倒臭い、という段階は既に脱したと思っていたけど、未だに眠りには抵抗できない。
幸せは、眠りに入る瞬間の暖かい布団に包まれてふわりと浮き上がるときの感覚だ。ああ。死ぬときもこんな感覚なんだろうか、と奈落の上に危ういバランスで浮いたままふと思う。しかし怖がる必要はない。飛べると思えば飛べるのだ。

*1:※ 適当な嘘八百である。そういう遊びはしたことがないので、よく判らん。よい子はマネしないように。