- 作者: 小野不由美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/04/26
- メディア: 文庫
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東亰
東京のこと。明治初期のことば。
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ほほぅ。それは知らなんだ。
黒子と人形の会話が、チン・トン・シャン、という文楽のような心地よいリズムを刻んでいます。雰囲気は凄くよく出てる。
舞台は明治の真ん中あたり、東京ならぬ東亰の街。暗闇に跋扈する「化け物」は果たして妖怪変化なのか、それともただの犯罪者なのかを、元摂関家のお家騒動に絡めて解き明かしていく。
本当か本当でないか、それはどっちでも良くて、その曖昧な感じが楽しい。白黒つけすぎると、嘘がわざと騙すための嘘になってしまう、というのが面白かった。結末を読んで、更にそう思いましたよ。そうきたか、こりゃ、はっきりしないほうが良かった、ははは。
でも同じ白黒でも、黒子と娘人形の背景がよく判らないのは、ちょっと気持ち悪いかも。あ、はっきりしないほうがいいですか。そうですか。
エピローグの舟のくだりは、情景が美しくなんともいえないいい雰囲気でした。実際、魑魅魍魎もこれだけ判りやすく姿を現してくれればいいんだけどね。