あなたはレイプに反撃できるか?

http://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20060625/p1
id:kmizusawaさんのところで話題になってた、レイプされて妊娠したとしてその中絶の是非をめぐるコメントで「中絶については男にも女にも責任はある」という話があった。大まかにいって同意できるのだけど、男性に避妊を強要できるのかどうか、その場になってみないと私には判らない。


男女は関係ないのだが、喧嘩や交渉ってのは、場数がものをいう。
喧嘩については、腕力が強いとか身長が高いからって、必ず勝てるわけじゃない。平和ボケ大国日本、暴力馴れしている人は少数派だ。普通の人がいきなり顔をバコン!と殴られたとして、実際にどれだけの人が殴り返せるだろう。私は非常に少ないと予想する。実験するわけにはいかないが。そういう状況になったことがある人なら判ると思うが、まず呆然とするし、暴力をふるうというコマンドを発動するのに時間が掛かるし、なによりふってわいた「暴力」に恐怖を覚える。身体が固まってしまう。躊躇している間に逃げられるかボコボコにされる。もしくは、自分が逃げてしまう。
少年マンガ読んでどんなに脳内でイメージトレーニングしてても、現実の自分は主人公じゃない。挌闘家が鍛える精神力って、このへんを乗り越えることをいうんだと思う。
子供の頃よく変質者に襲われたら「火事だ」と叫べ、と言われたけど、それって可能か? 恐怖で竦んだら、声なんか出ないよ。たとえ出せたとしても、目の前で明らかに自分より強い生物がこちらを狙っている状況で、こりゃ挑発できないと思っちゃっても責められない。
殴られたら痛い。下手したら死ぬ。レイプされかかってて目先の暴力に気を取られているときに、出来るかどうかわからない2%の胎児の心配をする女がいたら、お目にかかりたい。結果、いたずらされたり殺されたりすることが多いんだろうけど、その過程では弱い者だって生き残りをかけて弱いなりの方法で頑張っている。
反撃しろって、言うのは簡単だよなぁ、いや、言いたいことは判るけど。生きるのは競争だし、確かにいい大人なら反撃できなきゃいけないんだけど、そういう暴力のない世界を目指そうよ、という話は夢‥‥なんだろうねぇ。
こうなったらなるべく危ないところに近寄らないことにして、それでも不幸にして暴力にさらされたとしても、命があるならその後頑張って生きようよ、としか言えない。ああ、無理に生きろとも言えないか。

追記

自堕落な性交渉の結果、中絶を何度も繰り返す女性についての話もあったが、これは別問題だろう。
正直に内面を吐露すれば、中絶できる経済力があって、自分で納得して自分の身体を傷つけている以上、私に他人の胎児についてとやかく言う義理はない。生れ落ちてからの虐待ならともかく、胎児の状態では妊娠経験のない私には実感がない。
胎児の立場に無理矢理立つなら、許せない中絶とやむを得ない中絶や流産とはどう違うのだろう。何も違わないように思えるし、葬式が故人のためではなく残った者のためにあるのと同じように、許す許さないは今ここで生きている者の感傷ではないと、言い切れるだろうか。
レイプする男もいれば、破廉恥な女もいる。下を見ればキリがない。しかし、何かの拍子に自分がキリ以下になってしまう可能性がまったくないとは、私には言えない。

追記の追記

ちなみに避妊についてだが、今なら私はコンドームをつけてくれるように頼む。というか、自らそれが出来ない男性とは、根本的に価値観が合わないと思うのでお付き合いしたくない。それでも妊娠した場合は、結婚できなくても産むと思う。そこまで出来ない相手なら、私にとってはお呼びではない。ただ、この方針を定めるまでにはそれなりに試行錯誤があったし、相手選びに失敗したこともある。私が今まで望まない妊娠をしなかったのは、幸運以外のなにものでもない。