映画『355』

久しぶりに映画を観てきた。世界を股にかけた痛快スパイアクション『355』。これがとても楽しかった。英・米・独・哥・中のそれぞれからハッカー、武闘派、狂犬、心理分析官、謎めいた政府高官が出合い頭にいがみ合い、最終的に協力し合って任務を果たすのだが、これが全員女性なのである。


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よくある荒唐無稽なスパイアクションの性別を置き換えただけともいえるが、性別を変えるだけで新鮮だったし、なにより変なお色気シーンがなく、アクションがちゃんと訓練を受けた人の痛そうな暴力だったのが素敵だった。冒頭のジェシカ・チャステインがひらひらしたワンピース姿でキレのいいタフガイぶりを見せつけてくれたシーンがよかったな。
ドレスアップするシーンや色仕掛けをするシーンもあるのだが、綺麗に装うのもTPOに合わせたものでそれを楽しむこと自体は自由だし、色仕掛けはスキルを活かした技能として描かれる。そのへんのさじ加減が自然で女性同士が仲間になる動機付けや流れも非常に上手いので、監督は女性なのかと思ったら男性なのだな。たいしたもんだ。
女性のスパイアクションといえばチャーリーズエンジェルが草分けなのだろうが、作られた時代もあって仕方ないもののあれはカワイ子ちゃんのサービスショー的感覚が拭えなくて見ていてつらい。つらいというか端的に私がキャバクラに行ってもしょうがないのと同じレベルで面白いもんでもない。なので近年のリメイク映画にも食指が動かず観ていない。好みの問題ではあるな。
仕事してるときにいちいち自分が女だとか意識しないじゃん。ちゃんとやることやらねば死ぬし怪我するし仕事は終わらない。単にそれだけのことがきちんと描かれていて、なんだか観ていて嬉しかったのである。その仕事はいま火を吹きそうになっているんだけどな。ひとりで出来る仕事じゃなし、人事は尽くすがなるようにしかならん。焦ってもしょうがないんじゃな~い。