どこに行ってもダメじゃねぇか

私は人を見る目がない。特に第一印象はことごとく間違っている。最初から何かピンとくるなんて、ましてや一目惚れなんて私に限ってはあり得ない。イジメラレッコの業で人から目を逸らして生きているから、そもそものっけからまともに相手を直視できないのだ。
最初はまず物陰から様子を見、安心できる人かどうかしつこいくらい確かめてから徐々に距離を縮めていく。それがあんまり長くかかるものだから大抵の人は痺れを切らすんだろう。呼吸の合う人があまりいなくて、なかなか人と仲良くなることができない。
そんな私が、である。
今回の職場の直属上司にあたる人がどうもイケナイのだ。
すぐに仲良くならない代わりに、早い段階でコイツは駄目という烙印を押すこともほとんどない。たとえ駄目だと感じる要素があったとしても、人を見る目がないことを自覚しているので判断を保留にする癖がある。
もっとも、件の人も一目見て拒絶反応があったわけではない。三日ほど顔を合わせて喋ってみて、お互いに腹を探り合うような段階で、私としては異例の早さで注意信号が点った。正直、ここが駄目という具体的な理由はない。今のところ顔を見るのも厭、というわけでもない。
だけどこの人は信用できない。深く関わらないほうがいい。そんなことを思ってしまう。何故だ。相手にしてみれば失礼にもほどがある。
これが生理的にダメってやつかぁ。初めてだなぁ。
ま、私の第一印象は当てにならないから、一週間後にどう変わっているか判ったもんでもないが。