春の散歩

桜が見られるとフリーペーパーに載っていたので、自宅からぶらぶらと歩いて三十分ぐらいの公園に行ってみた。
仙台の感覚だとそういう場所は、テキ屋が出ていてサンドイッチマンがその場まで配達するよとデリバリーピザ屋の宣伝をしていて、酔っ払いの大学生が寄り集まって気炎を上げていて、という感じなのだが、今日行ったところは小さい子か犬を連れた健やかな家族の肖像や、キャンプ用品を持ち込んだ節度あるアウトドア野郎ばかりだった。あとカップル。これはウチもだが。
ぶらぶら歩くには汚くなくてこういうほうがいいな。しかしどうせテキ屋がいるだろうから、そこで食料を調達しようという目論見は儚く潰えたが*1
今年は特別なんだろうけども、花見の季節とは思えないほど暑かった。半袖でもよかったかも。仙台あたりでは花は開いても気温は低くて、ビールも寒いのを我慢して飲む感じなのだ。夜桜なんて、モツ煮でお湯割が飲みたいぐらいだ。
これくらい暖かければ(もう少し涼しくても)、いわゆる春らしい陽気で身も心も土も緩むというものだろう。これが日本の春か。はらはらと散る花びらを見上げれば、そりゃ花も一夜にして一気に散るだろう。


家に戻ったらムクドリのかまびすしい鳴声が。鳥の声は田舎のものだという先入観があったのだけど、なかなかどうして健在である。聞いた話だが、庭の木にとまったムクドリが一斉に飛び立つとき、古い木造家屋*2だとそのはばたきが空気振動となって窓ガラスに殺到するのが判るのだそうだ。本当にばぁーん!とサッシが鳴るらしい。

*1:もっとも、行程の最後の方で片隅に三軒くらいの屋台がいるのは見つけたのだけど、暑くてたこ焼きやら焼そばなんかは食べたい気にならなかったのが真相。寒いから温かい物を売るテキ屋は儲かるのかも知れん。

*2:古いというか、その家は民族資料的アンティークなのだが。もっとはっきりいうと、茅葺の豪農家屋、築百年以上。