映画:THIS IS IT(監督:ケニー・オルテガ)


最初は観に行くつもりはなかった。だってマイケルだし。わざわざ映画を観なくてもよく知ってるし、正直、ライブがあっても行きたいと熱望するほどのファンでもなかった。それどころかCDを買わなくてもどうせあちこちで耳にするから、それでいいような気がしていて、結局1枚も持ってない。しかし、別の映画を観に行った映画館でこれの予告編を目にしたら、やっぱり観なくちゃと気が変わったのだった。MTV世代ど真ん中である。マドンナがクイーンならマイケルはキングなのだ。そういえばディズニーランドのアトラクションになった『キャプテンEO』は、ちょうど修学旅行で行ったタイミングでやってたので、3Dメガネをかけて観た!
いまだにマイケルが何故死んだのかよく判らない。死因もはっきりした致命的な病気があってのものではなかったようだが、しかしそんなことではなく、『マイケルが死ぬ』こと自体が納得できなかったのだ。マイケルはキャッチーで完璧で人間離れした、遠くから眺めるものだった。一報を聞いたときにはびっくらこいて『マイケルも死んだりするんだ』と思わず呟いたくらいである。
映画の中のマイケルは、もう50歳なのに細っこくて相変わらず完璧な動きをしていた。あんなに細いのにどうしてあんなふうに動けるんだろう。あんなに動きながらどうして声が出るんだろう。やっぱりヤツはおかしい。
とても謙虚な態度でいながら、周りにもあくまで完璧を求めるマイケルの姿からは、ビリビリした緊張感が伝わってくる。天才に向き合う周囲の人は確かに大変だろうけど、それでいてそれぞれがアーティストとして最高のパフォーマンスを求められるということは、とても誇りに満ちた幸せな仕事になるに違いない。パフォーマーたちもひとりひとりがとてもいい顔をしていた。
やるはずだったステージや流すはずだった映像も収められていたけど、楽しそうだったなぁ。やれなかったなんて、惜しいよなぁ。