DVD:ザ・スピリット(監督・脚本:フランク・ミラー)

ザ・スピリット [DVD]

ザ・スピリット [DVD]

街を『彼女』と呼ぶ思わせぶりなモノローグから始まり、白黒基調のスタイリッシュな絵面でどんなカッコイイ映画なんだと期待がふくらむ。が、冒頭でもののついでに助けた女が胸の前で指を組み合わせおめめをキラキラさせながら、立ち去る主人公の背中に向かって『ステキ‥‥』と呟くというベッタベタさでズコーッとずっこける。あ、これはカッコイイふりをしたバカ映画なんだ。
シン・シティ』でもボコボコに殴られても車に撥ねられても平気で起き上がるヒーローにスラップスティック・コメディの片鱗が見られたのだが、それでもアレはまだハードボイルドだったし武士は喰わねど高楊枝を思わせるシリアスさだった。この『ザ・スピリット』のヒーローはもっと人間臭く元気でやんちゃな女たらしである。ヒーローらしいのは不死身なところだけで、他は恋もすれば欠点もあるただの人間と一緒で、元上司の刑事とぎゃーぎゃー喧嘩したりもする。
悪役のオクトパスもアホだし、主人公スピリットとも旧知の仲らしい。なんでコイツが黒幕でそんなにみんなに恐れられているのか、最初はよく判らないのだが、だんだんと『狂人だから常識が通じない』という種類の恐怖なのだなと納得させられる。何をするか判らない、罪の意識もない人間というのは、始末に負えないんだな。つまり、バカで有名だってことか。
出てくる女性も美女ばかり。ボンキュッボンの美女をコピー機にのっけてお尻のコピーをとってみたり湯上りのバスタオルを落としてみせたり、メガネっ娘に着物を着せてみたり軍服を着せてみたり、またいつも助けてくれる白衣の美人女医だったり、萌えポイントをキッチリおさえてやりたい放題。ふっくら柔らかそうな胸の谷間に目が釘付けですよ、奥さん
最後のエンドロールに原作のマンガが出てきて、これもスタイリッシュでカッコイイ。とことんマンガ的な楽しい映画であった。