カジュアルシャツ

1ヶ月も前の話だが、熊が誕生日だというので今年はシャツを作ることにしたんである。

毎度妙な手作り趣味につき合わせられる熊には大変ご苦労だが、そういう相手なのだと涙をのんで諦めていただくしかないことも世の中にはあるのである。合掌(チーン)。
ところで熊は見た目によらずけっこうな着道楽だったりする。バブル時代にドンピシャ年代なので、DCブランドが大好き。ということはトラッドかつ仕立てのいいものを毎日着ているということでもある。これだけですいませんねぇ、素人の趣味を押し付けて‥‥という気分になってくるのだが、こちらとらシャツを縫うなんて中学の家庭科の授業でパジャマを作って以来のずぶの素人だというのに、丈を詰めろだの首周りがどうだの裾はまっすぐにしろだの注文がうるさいうるさい。縫い始める前から殊勝な気分は気持ちよく吹っ飛んだのだった。
しかし自分用シンプルパターンのワンピースを作って調子に乗っていたのだが、シャツはとにかくパーツと工数が多い。この説明図を眺めた時点でくらくらきた。

目眩に負けてもいられないので腹を決めて取り掛かったら、型紙を写し、布地に転写し、裁断するだけで1日以上かかったのだった。更に接着芯を貼り、縫い代を折り返してアイロンがけして、手順を確認して2日目が終わり、ミシンとアイロン台を往復しながら、途中で袖を左右間違えて縫い合わせるなどベタなミスを連発しつつ、ようやく正味5日がかりで出来上がったのだった。仕事の関係上できるのは週末だけでありいろいろ予定も重なり、作り始めてから出来上がるまで実に4週間である。

近くで見るとこんな感じ。やっぱり台襟のあたりがキレイに作るのが難しくガチャついた。

ところで型紙を写すときに疑問だったのが『ガジェット』という小さなパーツである。3cmくらいの六角形のもので、どこにどう使うのかさっぱり判らなかった。本格的な仕立てのシャツなど着たことがなく、お恥ずかしながらいまのいままで存在すらまったく知らなかったのだが、よくよく説明を読むと裾の前身ごろと後ろ身ごろの合わせ目に縫いとめる補強布らしい。

熊にきいたら、持っているシャツにも付いているという。へぇ〜、作ってみるといろいろ判ることがあるもんだねぇ。
「お裁縫は布地を買ってきて縫い合わせるから楽〜」なんて、すいません、洋裁ナメてました。本気でお裁縫しようとすると技術も段取りも手間も時間もいるもんなんだなぁ。認識を新たに心を入替えます。

男のシャツの本

男のシャツの本