映画:RED/レッド(監督:ロベルト・シュヴェンケ)

かつては名を馳せたCIAエージェントのフランクだが、今は引退し、田舎町でのんびり暮らしていた。そんな彼の唯一の楽しみは、用事を装い年金課の女性サラに電話をかけること。ある夜、フランクはコマンド部隊に襲われる。次はサラの身が危ないと感じたフランクはサラを連れ、かつての上司で今は老人介護施設で暮らすジョーを訪ねた。襲撃者たちはCIAと関わりあいがあることがわかり、フランクは引退したかつての仲間たちと反撃に出る。

ジジババがどっかんどっかんぶっ放すのがキモのアクション映画である。
ジェームズ・ボンドはいつまでも若い伊達男だが、考えてみれば冷戦終結から20余年。往年の凄腕スパイもいつか年齢をとり、年金生活者になる日がやってくる。スパイ合戦が華やかなりし頃に腕を競い合った世代は、いま確かに老年に差し掛かっているんだろうな。そして現在の私はまさに彼らが冷戦中に活躍した年代にあたるであろう年齢である。そのせいか、映画を観ながらこんな仕事ができて頼りになる先輩方がいたら、そりゃいいよなーと思ったのだった。
私はキャリア志向でもフェミニストでもないけども、生きるために已むに已まれず仕事を続けている。特に才能もない下流なので労働力を売らなきゃ喰えんからな。やらなきゃならないことなら、誇りを持って楽しくやったほうが自分が楽なのだ。そして年齢を重ねて生きていくことを拒否しても意味がない。あるがまま肯定して最善を尽くすほうが楽しいではないか。どうせやるならカッコよく。我々中堅どころからみると、そういう意味での憧れ映画である。どんだけこてんぱんにやられてても、キュートな髪型のウィリアム青年(カール・アーバン)(でも30代)が羨ましい。
この映画を観ていてつくづく思ったのが、私の個人的な好みとして、男も女もお肌のキレイな若者より、人間的に厚みを増した同年代〜年上のほうが面白く感じるんだなということである。昔から老け専ではあったが、まさか65歳のブライアン・コックスにため息をつくことになるとは。ロングドレスで機銃掃射するヘレン・ミレンも美しい。でもスナイパーだってわりにガガガガガッ! って、それはどうなの‥‥。ヒロイン役のメアリー=ルイーズ・パーカーも40代で、お若い方々からみればおばさんということにもなろうが、なんとキュートなことか。
CIA本部に侵入したくだりでの乱闘はストーリー上意味がないように見えるし、ジョーモーガン・フリーマン)が死んだ経緯もイマイチ納得できないし、お話としては「???」という部分もあるけども、アクション映画だしな。なんにせよお年寄りが元気なのはいいことです。