瓦解

母が叔母(私には大叔母)のところに行くというので、くっついて行った。未だ線路が繋がっていないその先へは、臨時の代行バスが1日に何本も走っている。

電車も中途半端な位置に停まりっぱなし。

ボランティアの方々が作業をしている間をすり抜け、橋を渡る。笑い声も聞こえてくるが、その場の雰囲気は危険作業に携わる緊張感に満ちていた。掃除はしてあるものの、泥をかぶったあとの白茶けた道はうねりところどころ陥没しており、ガードレールは怪獣に襲われたようにひしゃげている。いや、怪獣が暴れてもその被害は点の集合だが、津波は線で押し寄せ面で呑み込むぶん、破壊の程度が徹底している。
実際に目にすると、その果てしない物量と面積の前で茫然自失するしかない。建設重機が取るに足らないほど小さく見える。
一見しただけで、あれを復興するには地元と住民だけでは無理だと実感する。もっとこう、国で特別予算を組んで公共事業にして10年計画にするくらいが妥当だと思えるようなスケールのものだよ。