映画:アイアン・スカイ(監督:ティモ・ヴオレンソラ)


月からナチスが襲ってくるのである。もうこの設定を聞いただけでB級だと判るはじけ具合である。ワクワクが止まらない。しかし観る前は正直、もっと低予算臭のするチャチなギャグ映画なのかと思ってた(失礼)のだが、絵はカッコイイし音楽はいいし話のキレ味も素晴らしい。こんなに完成度の高い政治風刺映画だったとはおみそれしました平身低頭ごめんなさい。
冒頭の宇宙空間を漂うスペースシャトル2001年宇宙の旅を髣髴とさせるわけだが、BGMはのんきな「Fly Me to the Moon」‥‥って、そのまんまじゃねぇかよ! というところから始まり細かく手間を惜しまずこちょこちょこちょこちょくすぐられる。もちろん「総統閣下はお怒りのようです」もあるしネタをあげだしたらキリがない。いろいろと呆気にとられても、「ドイツの科学力は世界一ィィ!」なので仕方ないのである。最後へ向かってこれでもかと盛り上がっていく場面で北朝鮮に出てこられたらもう堪え切れず、映画館で腹を抱えて笑ってしまった。
アレだよな、ナチスの「デザイン的な格好良さ」というのは確かにあって、しかし歴史を考えれば大っぴらにそれを「格好良い」とは言ってはいけない嗜みとの板ばさみに心が千々に乱れるのだが、これが風刺でありそいつらが悪者であれば思う存分堪能することが出来るのだ。
最高です。観るべし。