映画:ホビット 思いがけない冒険(監督:ピーター・ジャクソン)


IMAXのデジタル3Dで観た。いままでの毎秒24コマが48コマになったという噂の3Dなのだが、鳥肌が立つほど綺麗な画面であった。3D特有の目の疲れるブレがないせいか、実際に目の前で本物が動いているようで立体に見えるのが錯覚だと感知できないくらい滑らかである。違和感がなさ過ぎてちょっとすると目が慣れてくるんだけどね。しかし慣れても没入度・騙され度は高かったらしく、松ぼっくりが飛んでくるシーンで客席でビクッとしてしまった。これで空を飛ぶと物凄い高揚感である。鳥は綺麗だなぁ。いや素晴らしい。
ご存知、このホビット指輪物語の前日譚である。3部作になるのだそうな。原作を読んでいると出てくるのは主に年寄りの魔法使いとホビットと13人のドワーフロード・オブ・ザ・リングには妖精も女性もいてそれなりに華があったが、今度はどうなるんだろうと思っていたら、森の動物たちの凄まじい破壊力によってそんな心配は杞憂に終わったのだった。もうね、あのハリネズミたるや‥‥!
それでなくともトーリン役のリチャード・アーミテッジが異様な格好良さである。ドワーフなので垢抜けないずんぐりむっくり体形のはずなのだが、ドワーフとして正しくワイルドにイケメンなのだ。その要素を両立させるアーミテッジ恐るべし。
ロード・オブ・ザ・リングのファンへの目配せもおさおさ怠りなく、ガラドリエル様もエルロンド卿も完璧。1作目は何年前なんだっけ。俳優さんって凄いな。
物語では一行の間に多少の軋轢は起きるものの、基本的に忠義で気風のいいドワーフたちなので、ぐずぐず燻ることもなくスカッと爽やかなのも観ていて気分がいい。あと、哀調を帯びたはなれ山の歌も素敵。よく本を読む子供だったので、こうしたファンタジーや児童書の雰囲気は好きと主張するのも愚かしいくらい身近で、すっかり血肉になっているのだな。昔日に夢中になった荒唐無稽な物語がこれだけ素晴らしい映像で観られるとは、生きてみるものである。