伊東温泉(中編):伊豆シャボテン公園で元祖カピバラ露天風呂

2日目は伊豆シャボテン公園へ行ったのである。お目当てはカピバラ露天風呂。去年から始めた絵ブログでカピバラを題材にしたのがなんとなく連作っぽくなっているが、これは実は特にカピバラ好きと自覚して描き始めたわけではなかった。絵のネタを考えるときにゼロから描こうとすると何も浮かばず真っ白になってしまうけど、ひとつ点が固定されればそこから展開できるので楽だったのだ。ネタは何でも良かった。それがたまたまカピバラだったのだ。しかしそうして写真を見たり生態を調べたりしつつ何枚か絵を描いているうちに、どんどん愛着が湧いてきて実物を見たくなってきたのだった。いわば後追いカピ好きである。絵はさっぱり上手くならないけどな。
カピバラは温かい地方の生き物なので寒いのが苦手なんである。半水生だけど冷たすぎる水も嫌い。だから冬場はお湯に喜んで入るのだそうな。
カピバラ露天風呂は10:30からである。それに合わせて9:30発の路線バスに乗って大室山のふもとまで運んでもらい、そこから無料送迎バスに乗り換えシャボテン公園へ入る。10:15くらいに入園して急いでカピバラ舎に向かうが、そこはすでに黒山の人だかりであった。なんとか人の隙間から見える位置をキープし、コンデジを取り出す。「寒い日は待ちかねたように入ってくれるんですが、今日は比較的暖かいのでどうでしょう」という飼育員のお兄さんの軽妙なトークとともにお風呂にお湯がはられる。カピバラたちは朝ごはんに夢中。お正月のせいかお湯に柚子がたくさん浮かべられていていい香りが漂う。ややあってカピかあさんがすたすたと入ったのを皮切りに次々と子供たちが露天風呂に飛び込みとうさんも悠然とやってきて、めでたく全員仲良く湯船に浸かる姿を見ることが出来たのだった。

ここのカピバラはオスの雷とメスのいくらを筆頭に、去年2月生まれの子カピ4頭がおくら・ゆず・心(こころ)・楽(らく)、9月生まれの赤カピ4頭がぽっけ・ぽんず・たわし・へちま。現在は全部で10頭の大家族である。

ぽっけ・ぽんず・たわし・へちまのどれか。見分けはつかない。お湯の吹出口が温かいらしい。
しばらくみんなかたまってじっとお湯に浸かっていたが、身体が温まったのかだんだん湯船の中で活発にじゃれたり泳いだりしはじめた。

すぃ〜っと潜ってみたり。まるで銭湯で泳ぐ子供のようである。

お風呂に満足したのか、湯上りで朝ごはんに戻るいくらかあさんと赤カピ。親子でごはん。

そして湯冷めしたのかお風呂に戻るいくらかあさん。子カピも後追い。この露天風呂は開始時刻は決まっているが、終了時刻は「カピバラが満足するまで」なのだそうな。だいだい昼くらいまで観察できるらしい。

わちゃわちゃと朝ごはんアゲイン。赤〜子カピ8頭がこの1枚に全員写っている。奥にかあさんが湯船でゆったりくつろいでいるのも見える。カピバラは乳飲み子の頃から野菜もカリコリ食べるのだな。

赤カピがダブルで枝をカリカリカリコリカリコリカリカリ。夢中になっているのか半眼である。カピバラはげっ歯類。メンテナンスのためか硬いものを噛むのが好きらしい。小石をカリコリすることもある。

「なに? なんなの?」
 カピバラはきゅるきゅると小さな鳴き声を出すのだが、それを喉声で真似していたら雷とうさんが様子を見にきた。

思い思いに日向ぼっこする群れ。実際に見てみるとカピバラたちはトボケててぼーっとしててわちゃわちゃしていて、なにより実に幸せそうで心が和む。いつまででも眺めていたくなる。伊豆シャボテン公園カピバラ露天風呂は今年で30周年なのだそうだ。ずいぶん前からやってるのだな。元祖も伊達じゃない。
カピバラでお腹いっぱいになったので、次へ続く。