ナーバスの渦


これからはぼちぼちの残業で済むかと思ったら、さっぱりである。先週は3日ほど午前様で1日は徹夜で会社に泊まるという暴挙に及び、週末に2日休んだら不安になって月曜は1時間以上も早出をしてしまう程にはワーカホリックだ。それもこれも検査前でナーバスになっているのである。そわそわして休もうにも休むことが手につかない。こうなると会社にいたほうが気が楽なのだ。奇声を発しながらのた打ち回りたくなる衝動としょっちゅう闘っている。早く終わって欲しい。ふと気がついたら3日後になってないだろうか。
5ヶ月も仕事優先の生活をしていたら、本当に仕事に力を入れている人のようになってしまい、自分でもちょっと厭だ。実際のところは世知辛いご時勢に生活のために働いていたらこうなっていただけなのだ。不景気の労働者は立場が弱い。それだけだ。あとは巡り合せ。それにしてもどこかに仕事が楽しくなる魔法の呪文でも落ちてないだろうか。たとえ仕事自体が嫌いではないとしても、何事も程度問題である。ときどき携帯用の小さな水平器を握ってぶんぶん振り回しては気を紛らわせている。
寝ても覚めても仕事のことで頭がいっぱいだ。昼寝してても夢の中で仕事をしている。しかもヤバめな方向に進化した仕事を。まるで仕事が服を着て歩いているようだ。これから先、他のことを考えられるようになるのだろうか。それともこうなったら仕事のことを大好きになるしかないのか。それしか私に残された道はないのだろうか。万里の長城のような仕事が迫ってくる。長くうねりどちらへ避けてもどこまでも続いている。しかも乗り越えるべき壁が次々と現れる、十重二十重の長城である。ここはどこだ。もう囲まれたのか。逃げる術はないのか。
それともここが、宇宙の中心なのだろうか。