線の引き方

仕事の合間に試験を受けてきた。なんだか図ったようなタイミングで、試験の1週間前にそれまでの仕事の山場が終わり、試験が済んだ途端に次の仕事が始まるのだった。そして次の仕事が終わると同時に前の仕事の続きが始まる。パズルのピースのようにピタッと嵌るのはいいが、お蔭で正月も次のゴールデンウィークも気の休まる暇がない。せめて正月は休めるようにガツガツ仕事しよう。来年のゴールデンウィークは、あれはダメだ、もう手遅れだ。などとぶつぶついいながら、夜の9時から現場調査なんていう予定を組んでしまうのだった。変態か、私は。とりあえず仕事したくないでござるので、現実逃避に図面を描いている。
図面といえば手描きだった頃、線の太さを一定にするためにシャープペンを回しながら描くというのは製図あるあるだった。CAD製図が当たり前の今となっては、青焼きとともに年寄りの昔語りの一種である。どういうことかというと、シャープペンの芯は細長い円筒状になっているが、かくときはこれを斜めに当てて削っていくことになる。かき始めは尖っていた芯でも紙の上で削られ平らになるにしたがって描かれる線が太くなっていくので、そのまま引っぱると線の最初と最後で太さが変わってしまう。言葉で説明するのがまどろっこしいので、判りやすく誇張するとこういうことである。

これを防ぐためにペン先を軸にして回転させながら線を引くのである。ご苦労さん。
そういえばシャープペンで文字を書くのにも、横線は細く縦線は太くなるようにシャープペンの角度を調整しながら使うなー、なんて話をしたら、熊がきょとんとしていた。毛筆でもそうだし、明朝体も横は細く縦は太くなっているじゃないか。太いマジックペンはペン先のフェルトの断面が長方形になっているが、あれも書くときは横長になるように構える。それと同じことを0.5mmのシャープペンでもしているのである。0.3mmまで細くなるとあんまり気にならなくなるな。
しかしそんなことを気にしながら書いた文字がどれだけ美しいかというと、これがとめはねもいい加減な汚い癖字なのだから、しみじみと無駄な気遣いではある。