夏の終わり


生姜は順調に育っている。育ってどうするのか。そんなことは誰も知らない。人生と同じである。人はいつか必ず死ぬ。その間にどれだけ成長したからなんだというのか。生姜の生長を眺めながらやさぐれているのである。
夏休み突貫工事も竣工検査を終え、残すは後始末と書類の体裁を整えるだけということで、つかの間の平常運転の週末である。先週も現場的には4日間の盆休みはあったものの、実際に休めたのは週末の2日だけである。その前は2週続けて日曜が潰れたので実質20日連勤であった。50℃近い天井裏に上半身を乗り出して手作業していると比喩でなく玉の汗が全身にぶわっと噴出す。それを脚立に登ったり降りたりしながら繰り返していると、熱中症というのか単なる疲労なのか、とにかく目の前にラメをぶちまけたような視界が広がり、頭がぐらぐらしてくる。そんな毎日が3週間である。これはと期待して体重計に乗るわけだが、そこに表示される数字によると何故か最高重量が更新されているのだった。良いことが何もない、夏。現場最寄のコンビニで2リットルの水分を買うのが毎朝の日課だった夏が終わっていく。