- 作者: 春江一也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 単行本
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ソ連の崩壊も遠く過ぎ、社会主義体制下だったチェコスロバキアの民主化運動というと、今は昔の歴史物語の感もあるが、当時はそりゃ大変なことだったんだろう。といっても私はまだ生まれてないが。
プラハはモルダウ川河畔の都市で、十四世紀にはローマやコンスタンティノープルと並ぶヨーロッパ最大の都市となり「黄金のプラハ」と形容された。学問と芸術の栄えた華やかな都で、往時はプラハに比べるとウィーンなど片田舎だったらしい。
この小説は1968年に起きた「プラハの春」事件を軸に、美しい街を舞台にして若き日本人外交官と東ドイツの反共活動家である美女が繰り広げる、命懸けの壮大なラブロマンス。漫画か宝塚にも合いそうだ。実際、星組でやってるらしいが。
冗談はさておき、ヨーロッパあたりはいろんなことが複雑に絡み合って様々なことが起きているので、何かを見聞きする際に、それと有機的につながった事柄について、単なる印象だけでもおさえておくのとおかないのとでは、受け取れる情報量がまるで違う。
しかし、込み入った事情というのは横から見るとよく判らないもので、歴史的な事件を概況で眺めても、私のザル頭には全然入ってこない。物事を捉えるのに一番楽なのは、その場にいる人に感情移入して、追体験すること。手っ取り早いのは、物語を読むことだ。だから私の地理・歴史の知識は、大半が本からの受け売りだったりする。
東欧やらキョーサンシュギの変遷は、どうも判りにくくて困っていた。そこへもってきて、これは「当時、チェコスロバキア日本大使館勤務だった著者の体験談に基づく小説」だというから、願ったり叶ったりだ。だから読まねば、と心ひそかに思っていたのである。
しかしこのところの不調で、なかなか進まない。一週間かけて、四分の一程度。硬派ながら読みやすいし内容も魅力的なんだが、いかんせん体調が良くないので思うにまかせず。ボチボチ進むことにしよう。