大変なんだそうだ

暇である。やることがない。指示を仰いでも相手がイッパイイッパイなので放っておかれる。
‥‥年賀状描いてていいですか? あ、駄目。あ、そう。
勤め人だとこういうのが不自由だ。周りは忙しくてバタバタしてるのに、ボケッとしていると顰蹙をかう。私がキィーッとなりながら図面を描いているときは周りは穏やかだったわけで、準備するのが私の仕事なのだから本番では確認だけで暇になる。作業の順番としては正しいんだが。
帰っていいですか? あ、駄目。あ、そう。


忘年会が連日続いているそうだ。私以外の事務所の人たちは材料屋さんや職人さん、内輪外輪で毎日遅くまで飲んでいて、つらいんだそうな。年末まで○○日しか空いてないと嬉しそうに騒いでいる。
きっと中元歳暮も大変なんだろうな。
私はそういう世界にいたことがない。前の零細企業ではそういうのはやめようねと申し合わせしていたし、これまで大企業に勤めたことがないので形骸化した社会性を求められるような立場になったことがないのだ。社会性を求められないってことは、社会にあまり関わってないということでもあるな。味噌っカス。社会のゴミ。塵芥の類だ。


そういえば今年、生まれて初めてお歳暮を貰った。何故か姉から。
そこで慌てて高島屋へ行き、これまた生まれて初めてお歳暮を送ってみたのだ。
特設会場は凄い人出と熱気だった。商品を選んでバーコードのついたカードを持っていくと、整理券が貰えたので並び、番号を呼ばれて前に出ると制服を着た冗談の通じなさそうなおねぃさんがその場で必要情報を端末に入力してくれた。簡単なんだか大変なんだかよく判らない。
整然と混乱した独特な空気が場を支配している。波に乗るだけで疲れる。アレを世の中の人は毎年二回も行っているのか。あ、今は全部ネットですか、そうですか。
教習所に通ったときも、世の中の人はみんなこんな七面倒臭いことをクリアしているのか、と妙に感心した覚えがあるな。
大変なんだかアホらしいんだかよく判らない。
ただ酒は単純に楽しく飲むものだと思う。