こんな事情

映画館へ出掛ける前の身づくろいでドライヤーをかけていたら、くるくるドライヤーが髪の根元から絡まって取れなくなってしまったんである。しばらく引っ張ったり緩めたりしてみたが、巻きついた髪とブラシの毛が複雑に絡み合い、湾岸戦争の事情ほどではなくともどうにも解けない。
ブラシから手を放すとブラーンと頭からぶら下がる。さてどうしよう。少し考えて、風呂場でシャンプーやらトリートメントやらをつけて、滑りをよくしてみることにした。そうしてすっかり着替えて化粧も終わっていたというのに、全部脱いで頭からシャワーを浴びる羽目に。しかしそれでも取れなかったんである。
半ベソをかきながら髪を切るしかないか、ブラシを頭からぶら下げたまま美容院へ行くには、どうやって隠したらいいんだろう、パーカーのフードでも被るか‥‥とまで考えた。いや、髪を切るならブラシの毛を切ってもいいんじゃないか。そうか、それならということで、風呂場から出て全裸でニッパーを取り出してみる。
いやしかし、ぶった切るのは最後の手段として、その前にもう少し頑張ってみよう‥‥と鏡を見ながらコームの先を使ってブラシから髪の毛をひと目ずつ地道に外していったら、やっと取れた。
この間、1時間である。あまりに引っ張りすぎたので、絡まった部分の髪の毛がゾロゾロ抜けた。張力をかけすぎた地肌には鈍痛。


結果的にギリギリセーフで映画の時間には間に合ったわけだが、そこから先がまた酷かった。
今回は最近新しく出来た桜木町駅前のベルク13というシネコンに行ってみたんである。してみたらば、そこの映画館は開館したばかりでまだ調整がうまくいっていないのかなんなのか、とにかく音量がデカい。予告編から不安になるほどの大音量で、本編が始まってもやっぱり耳を聾せんばかりの轟音。一緒にいた相方さんが耳栓代わりにイヤホンを貸してくれたのでそれを詰め込み、その上から自分のストールで頭ごと耳を巻いてもまだ耐え難い。
クラブやなんかでドッカンドッカン音が鳴っている分にはいいのだが、集中して会話を聞き取らねばならない映画でこの音量はキツかった。観ている間にどんどん気分が悪くなり、映画の半ばで厭になって出ようかと思った。最後の方は自分の手でぴったり耳を塞いでいたが、それでも支障なく映画の中の会話が聞こえたよ。
たぶん、他のお客さんからも苦情が出るレベルだと思うので、そのうちうまいこと音量調整されるのではないかと期待している。いや、マジで。